中国での輸出入貿易に関わる税金について

貿易権

■中国輸出入貿易の6大要素 マネー 商流 資金流

・輸出入貿易に関わる税金について見ていきます。

 

○3大税金

中国の税制は大きく国税、地方税、関税の3つに分かれています。

・国税

増値税/消費税/自動車購入税/企業所得税

・地方税

個人所得税/社会保険(所謂5金)/住宅購入税

・関税

輸出入関税 *消費税、増値税と合わせて税関が代行徴収

*営業税 16年5月より地方税から国税に変更、名称も増値税に統一される

輸出入貿易に関係するのは?

輸出入貿易に関係してくる税目には輸出入関税、消費税、増値税、行郵税などがあり、いずれも税関が徴収し国家へ納められます。

納税先は同じでも徴収する機関が税関という税務局とは独立した機関である為、またその徴収
方法もHSコードの選択から申告内容と現物が一致しているかどうか、またモノの価格が適正かどうかなど特別な方法で審査、徴収される為、国税であっても関税という独立した項目として取り扱われています。

○輸出入関税計算

輸入関税

CIF価格をベースに税関が価格審査の上パスした価格を「完税価格」とし、その完税価格に予め決められた税率を掛けた値

輸出関税

ベースがFOB価格をベースとなる点が輸入関税と異なります。

*輸出関税の対象となっている品目はそれほど多くはありません。現在では撤廃されましたが、レアアースなど国内外の需給関係によって課税されたり撤廃されたり情況により変化します。

増値税

○増値税の輸出優遇措置

輸出の優遇措置として免税(売上増値税の免税措置)、還付(仕入れ増値税の還付)の措置があり、理屈の上では輸出すればその措置を受けられるとされていますが、税務局の審査を経なければならず、期間も1年後にならなければその措置が実行されないなど、そうやすやすとはいきませんので念の為。

輸出として認められない場合は最悪17%の課税も!

たとえ輸出通関単があったとしても仕入れデータとのディスクレなど「あらさがし」をされた上、輸出として認められない場合、還付されるはずの仕入れ増値税の控除が受けられないばかりか、仕入れ控除、免税措置も受けられず最悪17%納めなければならないというトリプルパンチの悲劇もまれに起こります。

還付申請などしなければよかったということにもなりますので、日常的に輸出をメインにしている企業以外は予め税務局に諮っておくのが宜しいかと思います。

 

*免税申告ははじめから仕入れ控除は出来ません。あとは免税されるかどうかの審査ですので、失敗に終わってもダメージは還付申請に比べればそれほど大きくありません。還付申請が失敗すると上記のトリプルパンチとなりますので、戻って来る筈が逆に出さなければならなくなりますので、事態は深刻です。
 

また2016年から輸出にあたりその輸出案件を買い取り名義を変えて輸出し利ザヤを得ようとするビジネス(买单出口)などを厳しく取り締まるようになり、この審査は益々厳しくなっている状況です。

I/V

○2015年中国の平均輸入関税率

2015年の中国の輸入関税の平均税率は9.8%となっています。

この数字は米国の3.5%、EUの5.3%、日本の4.9%(農産品21%、非農産品2.5%)には及ばないものの、中国単独で見ればWTO加盟前の15.3%から5.5ポイント下げ、公約通りの数字になっています。

貿易全体でみれば特別高い関税ではありません

ただ加工貿易は最終製品が海外に出されるとはいえ、関税、増値税はゼロ、またFTAなど特定の国々と貿易協定を結び、関税障害を排除した形でゼロ関税(或いはゼロに近い)を設定しているなど、貿易全体で見ればあながち特別に高いとはいえないのではないかと思います。
またこの数字は中国が2001年WTOに加盟時公約した数字がずっと維持されており、その後若干の調整が加えられているものの、大勢には大きな変化はなく、平均で9.8%で据え置かれています。

9.8%が分岐点?

少々乱暴な言い方ですが、この税率を基準にこれより高いのか低いのかで商品の競争力或いは保護している対象かが多少なりとも分かるかと思います。
つまり9.8%より低ければ中国国内の製品競争力はあり、どっからでもかかってきて頂戴というカテゴリー、高ければ競争力がない或いは政府が保護しているカテゴリーといえるかと思います。

また非関税障壁といえるのかどうかは分かりませんが、数量、輸出入者(資格)、書類エビデンス、貿易方式など関税以外のところで制約、条件が設定されている部分もまだまだあり、WTO
に加盟したからといって、「関税以外での縛りはない」と見るのはまだまだ早計でしょうか。

○輸入増値税率は17%と13%の2種類

この税率で注意が必要なのは、輸入関税はゼロであっても増値税はCIF価格に対してしっかり発生してくるところでしょうか。増値税率は下記の2種類です。 

17%

商品売買、輸入貨物、加工修理などのサービス貿易項目も含む

13%

農産品及び飼料、肥料、農機具等の関連製品及び書籍関係

日本の消費税のように取り引きの最終段階で課税されるという扱いではなく,売り買いされる取り引きの都度、その付加価値に対して発生する税金となります。

CFS

○輸入消費税 14項目

消費税はいわゆる贅沢税で、日本の消費税とは違います。税率は個々に決められており主な商品類別は下記の通りです。

タバコ、アルコール、化粧品、貴金属、花火、精製油、タイヤ、オートバイ、自動車、ゴルフ用具、高級腕時計、クルーザー、割り箸、床板

○行郵税及び総合税

この税目は最近出たばかりの税目で、越境EC貿易の中で発生する「個人物品税」に相当する税金です。スキームによって分かれ、直郵方式は行郵税保税区経由の集貨、備貨方式は総合税が発生します。

 

行郵税には今年2016年3月末までは50元の免税範囲が設けられていましたが、4月以降撤廃されています。 モノにより10%、30%、60%のいずれかが適用されます。

総合税は関税、消費税を合わせオールインの優遇税となっており、「増値税17%の70%」つまり一律11.9%となっています。 

ただこの税目は越境貿易として認められている貨物に対してのみ発生するのですが、果たしてどのような貨物がその貿易の対象となりえるのか、つまりどのような商品が輸入出来て、或いは出来ないのか、法律自体が謎に包まれている現在、税関、商検局その他政府機関含め、その線引きを明確にいえる人はこの地球上に誰一人として存在しないというオカルト現象が続いています。

所謂「エリアによって、人(関係)によって、時期(気分)によって違う」という正に中国特有のジャッジが行われているという状態です

「百歩碌・中国輸出入実務ワンポイントセミナーから引用」

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