■越境EC貿易
○新レギュレーション:税関総局2016年第26号公告 同年4月8日施行
关于跨境贸易电子商务零售进出口商品有关监管事宜的公告
関連法案:财关税2016 18号/2016年第40号
「财政部海关总署国家税务总局关于跨境电子商务零售进口税收政策的通知」
「财政部门等11个部门关于公布跨境电子商务零售进口商品清单的公告」
越境EC大手サイトの売上が大幅ダウン
○越境貿易 売上4割ダウン 混迷を深めるレギュレーション
前号で取り上げた4月8日に公布された越境EC貿易に関する
新ルールが、市場へ与えたインパクトがことのほか甚大で
大手サイトの売上が新政策発表から1ヵ月で軒並み4割ダウン。
その原因を作り出した元凶が商検局策定の
レギュレーションにあるとしてやり玉に上がり、
商検局としても国の重点施策に水をさしてはならないとばかりに
各部署と調整し近く改定政策を出すとの憶測が流れています。
上昇気流に乗っていた越境貿易が、ここにきて
市場ではなく政策に起因する思わぬエアーポケットに落ち込み、
迷走を深めている状況になっています。
通関単と商検検査
まず市場が混乱している原因から見てみます。
主に下記2点が挙げられます。
この内容は公告では出ていない、
現場で適用される商検局のアクチャルな内部規定です。
1.「货物验核通关单」(以下「通関単」と略称)の適用
2.「检验检疫」検査の実施
「法検貨物が焦点」と述べましたが、
この法検貨物という用語だけをとっても、
既に一般貿易のルールを前提にしているということが分かり、
このスキームの大前提である個人物品(B2C)の
通関制度が早くも前提から崩れかけているという様相を呈しています。
1.通関単の意味
上記1の新出単語の通関単の意味は、
どうやら「一般貿易のルールを適用する」という意味で、
これは商品によっては国家の批准書、輸入許可証、
輸出国の原産地証明書、放射能合格証明書などを事前に取り揃え、
これらがな通関単を出さないということのようです。
従いこの通関単がなければ入庫出来ない訳で、
結果サイトに商品登録することも販売することも
できないということになります。
これは手続きが煩雑で時間がかかる(モノによっては1年)
ということに加え、その申請手続きコストも
かかるということも意味しています。
4月8日新政策発布前のルールは従来の
「商品備案登録しさえすれば販売可能、面倒な批准書、エビデンス関係は必要ない」
というふれこみに対して、
ドタキャンにも近いレギュレーション
が新たに出たということになります。
2.検験検疫検査とは?
またこれに追い打ちをかけるように、書類だけではなく
「一般貿易で定められているのと同じ検査も実施する」
とあります。
これはサンプル抜き取り検査及び
ラベル認定などが問題となってきます。
従来必要ないとされてきた中国語商品ラベルの作成と
その認定が必要ということも分かり、これは
日本語をただ中国語に訳せばいいという訳ではなく、
細かな規定が多々あり、前回OKでも今回NGなど
課題の多い手続きの一つになっていること、
更にはサンプル試験が行われ例え日本で
何十年問題なく販売されている実績のあるモノでも
検査基準、測定方法が違う検査を受けねばならず
その為にNGとなるケースがあることなどが挙げられます。
また事前に批准書を必要とするカテゴリーの場合、
アイテム毎に批准書を取得する必要があり、発生する申請代金
も少なくなく、コスト面でも従来考えていたものより多くかかり、
「手間ヒマお金がかかる」という、
一般貿易同様重い手かせ足かせがはめられてしまった
というのが実情です。
またポジティブリストに盛り込まれていない商品に関しては
4月8日前に入って来たモノはこの適用は受けないという
救済措置もありますので、4割減の理由には当たらないようです。
○税制とポジティブリストは新政策のまま その他は一時見合わせ?
商検局も市場のドラスチックな反応に驚いたのか、
はてまた上からの指導が入ったのか、国の重点プロジェクトに
水を差してはならないと、関係部署とも折衝を重ね、近く
「4月8日に出した新政策の改定版」が発表さ
れるという憶測が流れています。
ただ改定版といっても短時間の中で出す規定ですので
ごく簡単な下記のような措置になるのではないかとのことです。
1.税制とポジティブリストは据え置き
2.通関単は一時見合わせ
3.少なくとも1年間は過渡期として、従来の方式に戻して運用
これはあくまで市場で流れている憶測にすぎませんが、
まずは元のレベルに引き上げるという点に重点が置かれているように
思います。
果たして最終的にどのような規定に落ち付くのか注目が集まります。
先行きが不透明な中、需要が戻って来るのかどうか
売る側としてもこと新しい商品に関しては正直仕入れる
勇気がないというのが本音なようで、当分既存の販売可能と
お墨付きが得られた商品で移行していくものと思われます。
○個人年間使用外貨枠にリンク
先の公告では個人が年間この越境貿易で使える
限度額2万元/年/人が決まりましたが、合わせてこの金額は
個人年間使用外貨枠5万ドル/年/人にリンクしており、
つまり越境貿易の制限枠の2万元≒3千ドルを使えば、
個人年間使用外貨枠はそれだけ目減りするということも
今回新たに分かりました。
個人がどこまで把握しているのか分かりませんが、いずれ問題になって
いく項目であり、また金額で縛り、他のレギュレーションにまでリンクさ
せるということは、まさに政府の管理下にあることを意味し、
「規制のある市場」ということは紛れもない事実です。
今後これらの政策に対して市場がどう反応していくかは
分かりませんが、ある一定のところで頭打ちとなるのではないか、
少なくとも天井知らずに伸びていくということはなかろうと思います。
出ていく外貨が多ければ、いの一番にしわ寄せが来るのが
ここのところではないかと思います。
○「今はまだ出るな!」 越境EC貿易進出への筋道
「個人貿易輸入の解禁、商品登録しさえすれば
面倒なエビデンスの取得も必要なく、何よりわざわざ
中国に出張る必要もなく、日本に居ながらにしてオーダーを待つだけでOK、
おまけに税金面の割り安とくれば、こりゃ出なきゃそんそん」
ああ、そんなことがあろうはずがないのに...。
あの鉄の規制で覆われた輸入レギュレーションが一気に
解凍したような錯覚にとらわれ、これからは越境EC貿易の時代
などと思ってしまった自分の頭を思いっきり殴りつけたくなりました。
30年中国ビジネスに携わり、おまえは何を見てきたのかと。
あるわけがないんです。爆買いで税金だけは持っていかれてなるものか
と軽いノリでではじめた越境貿易。
今までの方針、つまり投資を呼び込み、
安い労働力でモノを輸出し外貨を稼ぐ、
おまけに技術まで盗めると一石何鳥にもなる
従来の方針とは真逆なプロジェクト。
投資も雇用も外貨も生み出さず、ECサイト業者の利益と
国の税金をかろうじて得られるだけで、後は全て海外に
持っていかれてしまうのにどうして国家が後押しするのか、
ちょっと考えても分かりそうなものを。
国民のご機嫌取りはそこそこに、本丸は海外市場。
輸出の落ち込みをダイレクトに海外市場に売っていこうという
目先を変えた政策がコレ。
まさか自国の市場大開放などとはゆめゆめ考えてもおらず、
加工貿易と合わせた輸出の第2のツールとして見ていること。
輸出は変わらぬ基本政策に変わりはないこと。
いえいえ先進国で中国ブランドが売れないことは百も承知、
狙いは国家で後押ししているアフリカ、中央アジア、東南アジアなど、
所謂WTOを向うに張った「一帯一路」の世界戦略が背景にあったとは。
とはいっても折角の新プロジェクト、毎年倍々で伸長している市場を、
指をくわえてほっとく訳にもいかず、出られるものなら出てみたいという
気持ちも分からずもがな。ではこのような混迷を深めていく
スキームに対して、どう取り組んでいったらよいのか、
出るタイミングはいつか、どのように出ていくか、
下記は何の根拠もない私見ですが、こうこなきゃという
期待も込めた見方が下記です。
一般貿易と越境EC貿易、個人貿易を混ぜ合わせた三合一
やっぱり中国は「何でもアリアリ」が身上。
ならば一般貿易、越境貿易、個人貿易など分けるのではなく、
みんなごっちゃにして一つにまとめるのが出てくると
予想するのも妥当なところかと。
現在の監管エリア、つまり保税区、自由貿易区、輸出加工区、
保税港区、公共型保税区(一般地区に設立)などなど
いろいろなタイプの特別エリアを立ち上げましたが、
見よ、今はどれも同じ機能になっているではありませんか。
あの輸出加工区でさえ同じHSコードでIN/OUTができてしま
う(従来は不一致が原則、加工して姿が変わるので)。
今など輸入だってできてしまうアリアリ状態、では当時一体誰が
今の状況を想像したことか!
ならばこの越境貿易で、まずは一般貿易と「二合一」となることも大い
に可能性があるかと。
入境する時点では一般貿易或いは越境EC、
出る時はB2BでもB2Cもアリアリ。
市場の実店舗でもOK、わざわざ売れない
展示ルームなど作る必要なし。
ダイレクトに市場販売もでき、個人オーダーでももちろん受付OK。
売り手としても露出度のUPも異なる市場、
販路で施策も打てるというアリアリ政策。
どれも筆者の勝手な空想で何の根拠もありませんが、
いずれにしても二の矢、三の矢が放たれる度に、利便性を優先し、
名前だけが残って違いは皆同じになってしまうというのが
お決まりのパターンですので、少なくとも最終的には中国らしい政策となるかと。
その頃は越境貿易という名前は残っていても実態は一般貿易に毛がはた
ぐらいのスキームに変わっているのではないかと。
では社内で既に越境ビジネスを立ち上げてしまい、挙げた手をどう下ろ
そうか或いはこれから新規に出ようと思っているのであればコレ。
「今はまだ出るな」をキャッチに、中国のこと、やがて必ず乱れてくる時が来る
ので、つまり前述の「一般貿易+越境貿易」の時代が来た時が本格立ち上
げ旗振りの時かと。
ではその前に何もしないのかと聞かれたら、
「まずは一般貿易でやりましょう」
と答えるのがいいかと。
なぜなら一般貿易がOKであれば越境易も間違いなくOKだからです。
現在のECにも輸入正規品で謳っている
商品、電商も多く、拡販前のウォーミングアップからはじめましょうかと。
その上で越境貿易は落ち付いてから
越境ECはあくまで販路の一つとして捉えておく
のがよいかと。
少なくとも「越境貿易だけで出ていく」ことだけはキケンなニオイがします。
一般貿易輸入及び実店舗出の販売は弊社も
お手伝い出来るところもありますので、是非ご相談を!
と最後は弊社の宣伝でオチとなってしまいましたが、本音として現在の
越境貿易のスキームでは、
少なくとも「新規に中国に出ていく」「新規商品」
はしばらく様子見た方がよさそうです。
(転載元 上海百歩録貨運代理有限公司 ホームページ)
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